WESTERN ELECTRIC 46C AMPLIFIER このアンプは個人的にも30代頃に数年間使用していた(私のは46Bでした)こともあり比較的容易に修理が完了した記憶が有ります。本機で複雑な部分といえば劇場用装置として不可欠な動作チェック用メーター回路やモニターSWへの配線くらいで、インプットトランス付CR型2段増幅インターステージドライブの終段プッシュプルという超古典的増幅回路です。これらの古いWEアンプの最大のネックはピッチペーパーコンデンサーのリークです。電源回路に使用されている21CBのリークにより整流管205Dを壊してしまうなどの事故が起こります。特にカップリングコンの絶縁不良によるインターステージの1次側断線などの事故は代替トランスの調達という大きなリスクが伴うことにもなります。対策のひとつとしては電源回路とデカップリング回路の各コンデンサーに50mA〜100mA程度の即断ヒューズをシリーズに接続しておきます。こうすることにより21CBが突然リークしても同時にヒューズが溶断しますので過電流による整流管の破損を防止することが出来ます。なお、画像のように全てのワイヤリングを再配線することでSNの向上や音質改善効果も期待できますので是非とも挑戦してみて下さい。
WESTERN ELECTRIC 49 TYPE AMPLIFIER 本アンプは本来フォトセル用ヘッドアンプとして設計された2段増幅型ですが使用目的に応じて3段構成のものも存在していました。3段構成とはいってもμの低い直熱3極管239や264では十分なゲインを稼ぐことは出来ませんので、本機を現在のオーディオ装置の前置アンプとして利用することは必ずしも得策とは思えません。しかし、それでも敢えてこのアンプの音に固執するということであれば、以降のラインアンプやメインアンプに比較的ゲインの大きな機器の導入を検討しなければなりません。個人的には20代後半から30代頃に使用していた49アンプ3段構成フラットアンプーLCR
EQー46BアンプーTA4151(WE)+555W(6A Horn)+596A(WE)によるモノラル装置の決してワイドレンジではないが一服の清涼剤としての穏やかな音楽表現が今となっては大変懐かしく思い起こされます。
WESTERN ELECTRIC 8A & 9A AMPLIFIER 実物を目にする機会がそれほど多くない8/9Aアンプですが今までに2回ほどメンテナンスをする機会が有りました。このアンプもネックはピッチペーパーコンデンサーのリークですが、使用されているトランス類は超一級品ばかりですので、整備さえきちんと出来ていれば数あるWEアンプの中でも名機といえるアンプなのではないでしょうか。とはいってもレンジの狭さや分解能の悪さはどうにもならないのでどなたにでも薦められるようなアンプではないことは確かです。
WESTERN ELECTRIC 41A/42A AMPLIFIER 41型アンプはフォトセルアンプからのオーディオ信号を受ける3段構成前置アンプで、プッシュプル42Aアンプのドライブアンプとしての位置付けです。後に前段を2段増幅に変更し終段205Dプッシュプルをフルドライブするためにインプットトランスやインターステージトランスの昇圧比を上げて再設計されたのが46型アンプです。本アンプではハイインピーダンス型ATTの抵抗断線と21CBなどのピッチペーパーコンのリークが故障の原因となることが多いようです。画像3枚目の42Aアンプは平滑回路の21CB型コンデンサーをAEROVOX製オイルコンに交換して先ずは一安心というところでしょうか。この手の古典アンプのウィックポイントはコンデンサー不良率の高さと状態の良い使用球確保のむずかしさということになります。
WESTERN ELECTRIC 86C/91B AMPLIFIER
こちらは2010年10月アメリカL.Aでの出張修理でした。正味10日間で86アンプ8台、91アンプ4台、マランツ#1を7台メンテナンスという強行軍となりましたが、ご同行頂いたH.Tさんやメンテナンスのご依頼を頂きましたV.Gさんのサポートにより大変スムーズに作業を進めることが出来ました。最近話題のドジャースタジアムから僅かな距離にある日系観光ホテルからIndustrial
St.までの僅か15分足らずを10日間タクシーで行き来した際の街並みも今となっては大変懐かしく思い起こされます。