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Suzuki Electric.

WE AMPLIFIER REPAIR

2001年8月の創業以来大変多くのお客様からご依頼頂きました修理品の中から画像の一部を拝借し掲載させて頂いております。

閉店により修理は受け付けておりません



WESTERN ELECTRIC 46C AMPLIFIER


このアンプは個人的にも30代頃に数年間使用していた(私のは46Bでした)こともあり比較的容易に修理が完了した記憶が有ります。本機で複雑な部分といえば劇場用装置として不可欠な動作チェック用メーター回路やモニターSWへの配線くらいで、インプットトランス付CR型2段増幅インターステージドライブの終段プッシュプルという超古典的増幅回路です。これらの古いWEアンプの最大のネックはピッチペーパーコンデンサーのリークです。電源回路に使用されている21CBのリークにより整流管205Dを壊してしまうなどの事故が起こります。特にカップリングコンの絶縁不良によるインターステージの1次側断線などの事故は代替トランスの調達という大きなリスクが伴うことにもなります。対策のひとつとしては電源回路とデカップリング回路の各コンデンサーに50mA〜100mA程度の即断ヒューズをシリーズに接続しておきます。こうすることにより21CBが突然リークしても同時にヒューズが溶断しますので過電流による整流管の破損を防止出来ます。なお、画像のように全てのワイヤリングを再配線することでSNの向上や音質改善効果も期待できますので是非とも挑戦してみて下さい。



WESTERN ELECTRIC 49 TYPE AMPLIFIER


本アンプは本来フォトセル用ヘッドアンプとして設計された2段増幅型ですが使用目的に応じて3段構成のものも存在していました。3段構成とはいってもμの低い直熱3極管239や264では十分なゲインを稼ぐことは出来ませんので、本機を現在のオーディオ装置の前置アンプとして利用することがそれほど得策とは思えません。しかし、それでも敢えてこのアンプの音に固執するということであれば、これ以降のラインアンプやメインアンプに比較的ゲインの大きな機器の導入を検討しなければなりません。個人的には20代後半から30代頃に使用していた49アンプ3段構成フラットアンプーLCR EQー46BアンプーTA4151(WE)+555W(6A Horn)+596A(WE)によるモノラル装置の決してワイドレンジではないが一服の清涼剤としての穏やかな音楽表現が今となっては大変懐かしく思い起こされます。



WESTERN ELECTRIC 8A & 9A AMPLIFIER


実物を目にする機会がそれほど多くない8/9Aアンプですが今までに2回ほどメンテナンスをする機会が有りました。このアンプもネックはピッチペーパーコンデンサーのリークですが、使用されているトランス類は超一級品ばかりですので、整備さえきちんと出来ていれば数あるWEアンプの中でも名機といえるアンプなのではないでしょうか。とはいってもレンジの狭さや分解能の悪さはどうにもならないのでどなたにでも薦められるようなアンプではないことは確かです。



WESTERN ELECTRIC 41A/42A AMPLIFIER


41型アンプはフォトセルアンプからのオーディオ信号を受ける3段構成前置アンプで、プッシュプル42Aアンプのドライブアンプとしての位置付けです。後に前段を2段増幅に変更し終段205Dプッシュプルをフルドライブするためにインプットトランスやインターステージトランスの昇圧比を上げて再設計されたのが46型アンプです。本アンプではハイインピーダンス型ATTの抵抗断線と21CBなどのピッチペーパーコンのリークが故障の原因となることが多いです。画像3枚目の42Aアンプは平滑回路の21CB型コンデンサーをAEROVOX製オイルコンに交換して先ずは一安心というところです。いずれにしても、この手の古典アンプのウィックポイントのほとんどはコンデンサーの不良ということになります。



WESTERN ELECTRIC 86C/91B AMPLIFIER
こちらは2010年10月アメリカでの出張修理でした。正味10日間で86アンプ8台、91アンプ4台、マランツ#1を7台メンテナンスという強行軍となりましたが、ご同行頂いたH.Tさんのバックアップサポートにより大変スムーズに作業を進めることが出来ました。また、メンテナンスのご依頼を頂きましたV.Gさんにも本ページに掲載の画像を拝借させて頂いたことも含めまして改めて感謝申し上げます。



さて、このアンプに使用されているコンデンサーはAEROVOX製電解がオリジナルなのですが、WE初期のアンプなどに使用されていたピッチペーパー型に比較すれば格段に耐久性が上がっているものの時折容量抜けを起こすことが有ります。特に耐圧の低いカソードデカップリング用の不良の多さが目につきます。その他にこのアンプで気をつけなければならないのはインターステージ264Cの断線です。203Aカップリングコンデンサーは21CBなどのピッチペーパー型とは比較にならないほど絶縁が悪化しにくいもののですが、カソード側でDCをカットしているパラレルフィード回路では電蝕を起こし易いため稀に断線という憂き目に遭うことが有ります。フォトセル用アンプのインターステージトランスとしては珍しいことでは有りませんが、1次2次共にインピーダンスを高く取る必要から超極細線を使用せざるを得ない事も断線し易い理由の一つになっています。内部抵抗の高いひ弱な262Aによってドライブしなければならない300Bppというバイアスの深い球の構成を考えれば自ずとこのような回路構成にならざるを得ないということなのでしょうが、その後のドライブ力の高い高性能な電圧増幅管が星の数ほど存在するという時代ではなかったという事も要因のひとつになっているのではないかと推測します。91アンプの方は電源回路や各増幅段のデカップリング回路が必要以上に厳重な構成になっていますが、業務用拡声装置として電解コンデンサーの耐圧に対する不安やプレートインピーダンスの高い2段電圧増幅段の安定性の確保に重点を置いた結果なのでしょう。真空管以外に壊れるところなど殆ど無いといっても良いくらい簡素な増幅回路ですので、電解コンデンサーの容量抜けやリークを気にするだけで十分ではないかと思います。



こちらの91Bは国内のお客様からの修理依頼品でした。やはり電解コンデンサーの絶縁状態が思わしくなく良質なものを探すのに苦労した記憶が有ります。内部抵抗の高いひ弱な電圧増幅管+グリッド電流の流れやすい直熱管シングルという欠点の多いアンプでは有りますが、可搬型としてこれほどコンパクトでそこそこのパワーを持ったアンプがそうざらにあるわけでもないという理由も含めて一部のビンテージオーディオ愛好家から珍重されているのかもしれませんが、3結2段増幅インターステージドライブにでも回路変更すればもう少しマトモなアンプになりそうです。いずれにしても、この手の古典的なアンプを現代のハイフィディリティー再生装置に流用するというビンテージオーディオ愛好家の常套手段としての発想がそれ程的を得たものでも無いということを如実に表した一台といえるでしょう。



WESTERN ELECTRIC 43A AMPLIFIER


本アンプは241Aインプットトランスドライブの単段211A/Dプッシュプルブースターアンプです。後に242Cを使用したハイパワー型としても使用されましたが、音質的にはオリジナルの211A/Dの方が穏やかで質の良い音を出してくれた記憶が有ります。しかし、211も242も寿命の短い球で私が使用していた同型機では2年もするとプレート電流が下がってしまうことが有り、とても私の懐具合では維持し続けられないという苦い経験もあり、その後212Dシングルへの改造を経て2枚目画像の241Aシングルブースターアンプと変化していった経緯があります。このアンプで鳴らすTA4181×2+WE594Aの高圧フィールド化したスピーカーから鳴り響く音は今でも忘れられません。ある時ふと以前入手していたコンディション抜群の560AW(オリジナルコーン紙付)をこのアンプのプレート回路をCカットのみで鳴らしてみました。なんとその音は「これぞウエスタンサウンド」というに相応しい抜群の雰囲気とゾクゾクするような生々しさでドリス・デイやヘレン・オコーネルなどの若々しい歌声を大いに楽しませてくれました。その時のラインナップは300Aプレーヤー(9B CARTRIDGE)+40Cmトランスクリプションレコード+264C 2段増幅205Dpp+本機+WE560AWでした。この時使用したパラレルフィード用シングルアウトプットトランスはWE102A RETから外した純鉄リングコアの大型タイプを使用してリメイクしたものでした。参考画像:
102A RET 102A RET2

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