MC CARTRIDGE ダイナベクター507MKUの高感度アームで最高の性能を発揮出来るカートリッジといえばKOETSU以外に存在しないのではないかと思います。画像は初代光悦さんが長年温存していた原石から切り出した気泡の全く無いヒスイケースで、間接音の表現力に長けたトレース能力の高いボロンカンチレバー+プラチナマグネット+WE
OLD MAGNET WIRE仕様というスペシャルバージョンカートリッジです。どんなに優れた高品質カートリッジが出現しようとも、小手先のごまかしなど一切受け入れてくれそうにないオイロダインKl
L439+平面バッフルという類い稀なるスピーカーシステムを使い続ける限り、繊細で残響の長いバロック系の再生において独壇場とも思える程のリアリティーを発揮する光悦スペシャルバージョンカートリッジを否定することは出来ません。
ところで、最近カートリッジのチップをどのくらいのタイミングで交換すべきかということが話題になりましたので私なりに考察してみました。私の光悦カートリッジではレコードに針を落とした際に針先を飛ばしてしまったという事故以外には予備カートリッジも含めて一度もチップ交換をしたことが有りません。あくまで個人的見解としてですが重針圧型カートリッジをインサイドフォースキャンセラーを装備していないローコンプライアンス型アームで使用した際の針先の減り具合と、トレース能力の高いインサイドフォースキャンセラー付の高感度アームに取り付けた追従性の高いボロンカンチレバーを持つ光悦カートリッジでは針先の減り方に大きな差が有ることは明らかだと思います。要約すれば、重針圧による高負荷や内周でのインサイドフォースによる片減り、レコード音溝に対する追従性の悪さなどが相互に影響し合って摩耗に繋がっているケースも多いのではないかと推測されます。ちなみに、中古レコードを購入する際もっとも困るのは、旧態依然としたアームとカートリッジなどで幾度となくトレースされたと思われるレコードの内周付近では音が歪易いことです。同じようなローコンプライアンスカートリッジで再トレースする分にはほとんど気にならないようですが、光悦のようなトレース能力の高いハイコンプライアンス型カートリッジを追従性の良い高感度型アームで使用した場合ほぼ間違いなく歪音が聞こえてしまうので中々厄介です。
MC STEP UP TRANS WE 201 TYPE COREを使用した光悦MCカートリッジ用昇圧トランスで昇圧比は1:15と比較的低めの設定です。入出力端子はWE製を使用し設置用インシューレーターにはAudio Replas GR-SS+RSI-M6を使用しています。WE555Wや594Aスピーカーを使用していた20~40代の頃はWE261Bや208PなどにSPUやTYPE-C、FIRCHILD
225A等を組み合わせてジャズやロックなどを楽しんでいましたが、KLL439スピーカーの導入と共にWE純鉄リングコアを使ったMCトランスを使うようになり、ようやくクラシック音楽が聴けるようになったという気がしました。職業がら比較的多くのMCカートリッジ用昇圧トランスなるものを聴く機会に恵まれましたが、古典的なローコンプライアンス型カートリッジ+パーマロイコア型MC昇圧トランスあたりで情緒的に音楽を鳴らすならそれなりに雰囲気も有りあれやこれやと音の違いを楽しむことも出来るでしょうが、クラシックレコードのオーディオファイル盤あたりを再生して、音の良いコンサートホールの上席にでも身を置いているかのような気分にさせてくれる程のクオリティーを求めるなら、WE系マイクトランスやライントランスなどの代用品や親指の先ほどの小型パーマロイコア型MCトランス程度では役不足感が否めないのではないかと思います。私たちが求めているハイファイ再生のためのMCカートリッジ用ステップアップトランスというアナログレコード再生の根幹を成す昇圧トランスにこれぞというものがほぼ皆無という現状を踏まえれば、可能な限り音質の良いコア(ここでは磁路に切れ目が無く比較的ブロードな磁気特性の純鉄コアを指します)を使い、そのカートリッジのインピーダンスにマッチした昇圧トランスの製作が必要不可欠なのではないかと考えます。
WE RING CORE TYPE LCR EQUALIZER UNIT 構想から半年近く経過してやっと完成した2台のMONORAL LCR EQだが、今回はあまり時間もないので1.8H/45mHのインダクターは以前のままで使用することにした。とはいえ元々1.8Hは64A
RET PRESS CORE、45mHは25A REP WIRE COREを使用しているので極端に新旧の差が出るとは考えていないが、1930年代のOLD
BELDEN MAGNET WIREの威力を知ってしまった以上どこかのタイミングで巻き直しをしなければならないと考えている。最終的に設置したEQ
CURVEはRIAA/COLUMBIA(NAB)/AES/FFRR/DIN/CCIRの6種類となり、殆どのMONO/STEREO盤が躊躇なく聴けるようになったことは大変大きな収穫でした。とはいってもハイファイオーディオ装置の構築を目指している職業的立場としては、レンジの狭いモノ盤あたりを好んで聴く趣味が有るわけでもないという個人的趣向も含めて、60年代後半から70年代あたりの超が付くほどのハイファイ録音盤を如何にコンサートホール並みの音で再現するかを目標にしていることに何ら変わりはない。
POT TYPE 600Ω ATTENUATOR PREAMP→LCR EQ→本機というラインナップで従来から使用しているものに少し手を加え、WEインチラックに鉄製ベースを使い高純度アルミナプレート+セラミックターミナルポストにSPRAGUE
BLUEJACKET RESISTORを設置していますが、単純な機能だけに不確実な要素を極力排除し正攻法での攻略が必要な部分だと感じています。
POWER AMPLIFIER INPUT TRANS こちらは600Ω型アッテネーターとパワーアンプの間に接続するマッチングトランスとして製作したものです。私のアンプはプリもパワーも比較的ハイゲインなためトランスのレシオ比をそれほど高く取る必要がないので5倍程の昇圧比(600Ω:15KΩ)で製作しました。このトランスのコアはWE201型インプットや61A/B
RETなどを解体したもので、本機はケースによる音の違いを比較する意味も有ってWEトロイダル型トランス用鉄ケースに封入してみました。この201型トランスの最も魅力的なところはF特が広く誇張感のないニュートラルな音楽表現をしてくれるところです。
POWER AMPLIFIER
本機は6AB7-6AG7-INT(WE201 CORE)-4D32pp-5Kpp:0-8-16Ω/50W Output Trans の3段構成で+B供給用電源には371Bと705Aをパラレル接続にしています。6.3VのヒーターDC点火はLR独立でセレニウム両波整流チョークインプット回路を採用し、平滑用コンデンサー(2,000MF)は積層セラミック型をアルミナボード上に設置しています(詳しくは下段のHT電源の項参照)。このアンプに使用している4D32というパワー管の素晴らしいところは、一般的な認識として「図体の大きな球は大雑把な音がする」という定説をいとも簡単に覆してくれるだけの繊細さと緻密さ、広帯域特性、フラットなエネルギーレスポンスなど、音楽再生に必要な増幅管としての全てを兼ね備えているかのような気にさせてくれるところです。もちろん前段を構成している2本のメタル管も並みの電圧増幅管ではありません。巷でもてはやされているWE系ST型電圧増幅管はどれも内部抵抗が高く付帯音の多い構造で、当店が目指しているハイファイオーディオ再生装置の構築という観点から候補に上がることは有りませんが、3極電圧増幅管の中でも比較的マトモな音のするKEN-RAD
6C5(METAL)や6SN7(GT)などがことごとく寝ぼけて聴こえてしまう程本機に使用しているKEN-RAD6AB7や6AG7は色付けが少なくパワフルでシャープな名刀の切れ味のような音がします。要約すれば星の数ほどある電圧増幅管の中でもKEN-RAD
6AB7-6AG7のラインナップは物理振動が少なく並みの電圧増幅管とは桁違いの広帯域特性と付帯音の少ない強力なドライブ力を兼ね備えた前段増幅回路を構成することが出来るということなのです。
INTERSTAGE TRANS 私の装置ではプリアンプとパワーアンプの両方にWE201型コアを使用した位相反転トランスを使用しています。どちらもレシオ比は1:1+1で全くゲインのない位相反転だけのためのトランスです。インターステージのように比較的信号の大きい回路でのトランスによる大きなインピーダンス変換は、Hi-Fiアンプの構築という目的を達成しようとする場合周波数特性重視という観点から必ずしも得策ではないと考えます。なお、インターステージトランスの一次側にDCを重畳する回路では、一聴して力強い感じを受けますが音楽鑑賞用のHi-Fiアンプとしては付帯音の多さやレンジの狭さが気になります。そうなると必然的にパラレルフィード回路の採用となりますがこちらはCRの品質が問題になります。WEに夢中になっていた頃はWEピッチペーパーや38抵抗などを使用して一人悦に入っていた時期も有りましたが、あの付帯音の多い分解能の悪さがクラシック音楽のアナログハイファイ再生というセンシティブな目的達成にはそぐわないものだと理解するにはそれなりの時間を要しました。結局のところ良質なインターステージトランスの製作には如何に質の良いコアとマグネットワイヤーを使用してDCアンバランスが少なく位相ずれや挿入損失の少ないトランスに仕上げるかにかかって来ます。もちろん絶縁処理を含めた含浸方法などにも十分に配慮する必要が有ります。
KLANGFILM Kl.L439 SPEAKER SYSTEM
SP装置の移動から約半年経ってようやく天井の高さが効果を発揮し始めた感がある。ルームチューニングの難しさもさることながらアンプ系の設置方法やMCトランスの配置方法など数多くの難関を乗り越えてやっとここまで来たという感じで、改めてルームチューニングに係る物理振動やオーディオ機器の設置の際のインシュレーター等の導入に無関心ではコンサート会場並みの質感で音楽を再生することなど不可能だということを思い知らされた気がします。ここ数日間何枚かのレコードを繰り返して聴いてみたが少しルームチューニングをやり直してみる必要があると感じていた矢先に近所のNさんが来訪されたので、手助けをしてもらいSP後方壁のチューニング材を少しばかり移動してみた。オイロダインKl L439と平面バッフルというセンシティブなスピーカーシステムのせいも有るだろうが、チューニング材をほんの数センチ上下左右に移動するだけで音のバランスがコロコロ変化する。少し拡散させると全体的に穏やかな傾向になりドライバーの真後ろ付近にチューニング材を取り付けると音楽の集中力が増す。低域から中高域の効果的な拡散には、かの有名なカーネギーホールにも設置されているというQRD Diffractalで決まりだが、中高域から超高域帯の調整にはAudio Replas製ルームチューニング材の効果的な取付位置を探さなければならない。30分ほど取付位置を移動させながらながら試聴を繰り返しようやく中々良い感じになって来た気がします。
ISOLATION TRANS & POWER TAP 200V⇔100VアイソレーショントランスにはWESTERN INC製(5KVA)とアメリカ製トロイダル型アイソレーショントランス(1.5VA)を使用しています。各アンプのヒーター回路やEMT-930のモーター駆動用にはトロイダルアイソレーショントランスから供給し、その他の高圧整流ユニットへの供給にはWESTERN
INC製を使用しています。これ以降の電源タップにはオーディオリプラス SBT-4SZ/HG-MK2SRとSBT-4SZ-MK2SRを使用していますが、このパワータップのOutletは2基ともWattgate
381 RH evoに変更してあります。全ての電源用接続ケーブルにはWE2A LITZ WIREを電流容量に合わせてパラ接続で使用しWattgate
330 RH evoを通して各機器に供給しています。もちろんここでも全ての機器への電源供給ラインにWE KS14169 FUSE BLOCK+WE
FAST BLOW INDICATOR FUSEを使用していますが、今のところこのヒューズを超えるような高音質ヒューズを知りません。 先日からこのリッツ線を使ったACケーブルを採用して劇的に音質改善効果を上げているNさん宅に再び伺いEMT930プレーヤーの220Vライン用ACケーブルを交換してみましたが、やはりこの装置でも驚くほどの解像度アップを実感することが確認出来ました。それならばついでにということでプリアンプ用AC100Vラインケーブルも同じリッツ線(5本パラレル1.5m)+Wattgate
330i RH PLUGに交換してみました。こちらは先ほどのプレーヤーケーブル以上の変わりようで唖然としてしまった。驚くことにとても平面バッフル+フルレンジ2発の2
WAYとは思えない程のスケールで音楽が鳴っている。たかがプリアンプの電源ケーブルでそれ程の効果は期待できないであろうという思いの中での試聴実験でしたが、これほど素晴らしい結果になるのならパワーアンプ側も用意して来れば良かった、ということで後日パワーアンプ側も交換することにした。いずれにしてもフルレンジ+平面バッフルがこれほどの緻密さとスケール感を持って鳴ってしまうと、自然で繊細な表現力を必要とするバロック系音楽を上手く鳴らすのが苦手な古典的大型スピーカーの欠点をほぼ解消してしまったのではないかとさえ思えて来た。 WEリッツケーブルによる音質改善が凄まじく効果を発揮してきた感のあるNさん宅に刺激され、我が家の装置でも改善できるところはないものかと2〜3日前から考えていた。そういえば高圧供給ラインだけはショートの危険性が無いようにとリッツ線の上にアメリカ製ガラスチューブを使っていたのだが、上手く絶縁性を確保すればAC100/200Vラインと同じようにシルク二重巻+シェラック含浸程度で問題ないだろうということで、早速プリアンプやパワーアンプへのB電圧供給用接続ケーブルを製作し直してみた。結果はおいおい何じゃこれは?というくらい劇的に柔らかく物静かに音楽が鳴り始めた。しかしながら、ヒーター供給ケーブルやBライン供給ケーブルの変更でここまで質感が変わってしまうと全てのケーブルはこれで良いのではないかとさえ思えて来る。画像1枚目はプリアンプへの高圧B電源とヒーターDC点火電源の入力端子部分で、2枚目はパワーアンプへ供給する高圧整流平滑回路の接続ケーブルをリッツ線化した画像です。ケーブル引き出し部分のストッパーには音質劣化の甚だしい塩化ビニール製からアメリカ製高純度アルミナ製に変更し、差し込み側の4ピンプラグとソケットにも高硬度セラミック製を使用して入出力接続系統での思わぬ音質劣化という事態を回避出来ればと考えている。こうしてみると、音質改善のキーポイントはこれぞと思う材料を導入した際必然的に回路定数や設置方法などを再調整することになりますが、その結果として新たなウィックポイントを見つけ出し再改善していくというシンプルで地道な作業の繰り返しが次のステップアップに繋がるということなのではないかと思います。
AC POWER CLEANER
日頃から親しくお付き合いを頂いているお客様からのご厚意によりお譲り頂いたIsoTek EVO3 SIGMASを使用し好結果が得られたのをきっかけに単独使用を目的としたスペースファクターの良いコンパクトな電源クリーナーはないものかと探していたところUK仕様のIsoTek
NOVA ONE EVO3というデットストック品を海外で見つけたので早速導入してみることにした。 一週間ほどで届いたコンパクトなNOVA ONE EVO3(画像右)なのだが、果たしてこの程度のモノでそれ程多くを期待して良いものだろうかという不安も無いわけではないが先ずは接続してみよう。本機はUK仕様なので前もって購入しておいたロジウムメッキタイプのUK
PLUGにWE2A LITZ WIRE+WATTGATE 330RH evoを使ってプリとパワーアンプのセレニウムヒーター電源に供給することにした(付属のIsoTekケーブルより断然こちらの方が音が良いのはSIGMASで経験済みだ)。AC入力側はEVO3
SIGMASと同様SBC-2SZ(改)からの出力をWG-330RH evo→WE2A LITZ WIRE→WG-350i RHを使用しての電源供給だ。夕方頃から数枚のレコードを聴いてみたが導入前に比べ一層落ち着きが出た感じが有る。バックハウスのピアノ(DECCA)やクーベリックのシューマン交響曲(DG)あたりも中々良い感じだ。とはいってもこればかりはエージングによる音の変化も加味しながら数日間使ってみなければ分からないので早とちりは禁物だ。 BACK TO TOP PAGE TOP