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My Audio Project

このページでは当オーディオ装置の構築プロセスや音質改善のための体験談などを気の向くままに綴っています。掲載内容についてご意見ご質問など有りましたらメールどうぞ。Email to:SUZUKI ELECTRIC.


EMT 930 Turntable


EMT-930モーターを選んだ理由は、バロック系クラシック音楽を再生することの多い私としては何としても光悦スペシャルバージョンカートリッジの性能を最大限に発揮させたいという思いから、必然的にトレース能力の高いダイナミックバランス型トーンアームが不可欠ということでダイナベクターDV507MKUしかないと結論付け、このアームが使える高精度モーターはといえばEMT-930しか無いだろうということでの選択です。しかしながら、EMT-930モーターを使うにあたっては進相コンデンサー&サープレッサー抵抗の交換と220V外部供給電源の導入が不可欠です。標準装備の粗悪なMPコンデンサーとホーロー抵抗ではどうにもマトモな音にはならないので、3mm厚真鍮板とセラミック端子台を使用してCeramic Cap+Sprague Resistorによる進相コンデンサーユニットを製作しました。その後、真鍮板を取り外しアルミナボードとセラミック端子という組み合わせでGR-SS+アルミナプレート2枚下敷きとした。また、モーター駆動用の220V供給にはアメリカ製1KVタイプのトロイダル型アイソレーショントランスを100V:220Vで使用し220Vライン用ヒューズには音質抜群のWE 1/4A FAST BLOW TYPEをパラレルで使用しました。小容量ヒューズをパラレルで使用した方が確実に音が良くなりますのでヒューズの音の良し悪しを気にされている方は一度試してみて頂ければと思います。


Audio Replas Turntable sheet & Record Stabilizer

情報量を減らさずに余計な変調のかからない最も優れた素材ということを第一に考えるならばオーディオリプラス製水晶シート以外に選択肢はないと思います。また、アナログレコード再生に必要なセンタースピンドルで使用するレコードスタビライザーも水晶製が不可欠で、如何に着色の少ない信号をMCトランスやプリアンプに伝送するかという目的を達成するためにはターンテーブルシート同様極めて重要なのではないかと考えます。高周波発信素子として使用される単一共振周波数を持つ単結晶水晶振動子に着目したスタビライザーやインシュレーター、ターンテーブルシート、カートリッジシェルなど物理振動を可聴帯よりも高い共振周波数で拡散させることでオーディオ帯域に影響を与えずに効果的に振動を処理する方法として、これ以上有効な素材は先ず以って存在しないのではないかと思います。


Dynavector DV507MK2 Tonearm

スタティックバランス型アームの安定感のない音の嫌いな私としては、トレース能力が高く間接音の表現に優れたしなやかで長いボロンカンチレバー+プラチナマグネット+WEオールドマグネットワイヤー+メノウ&ヒスイケースというカートリッジ界のF1 CAR的存在のハイスペック光悦カートリッジの音楽性豊かな性能を最大限に引き出すための条件を満たすトーンアームとしてダイナベクター507MK2意外の選択肢は有りません。超高感度質量分離型ダイナミックバランスアーム ダイナベクター507MK2はインサイドフォースキャンセラーの無い旧態依然とした感度の鈍い重針圧型アームとは比較にならないほどあらゆる面で理想的なトーンアームであると思います。なお、カートリッジシェルにはAudio Replas RHS-1HRを使用しアームの高さ調節も兼ねてカートリッジスペーサーRCS-2S-SSを使用しています。


Koetsu MC Cartridge

ダイナベクター507MKUの高感度アームで最高の性能を発揮出来るカートリッジといえばKOETSU以外に存在しないのではないかと思います。画像は初代光悦さんが長年温存していた原石から切り出した気泡の全く無いヒスイケースで、間接音の表現力に長けたトレース能力の高いボロンカンチレバー+プラチナマグネット+WE OLD MAGNET WIRE仕様というスペシャルバージョンカートリッジです。どんなに優れた高品質カートリッジが出現しようとも、小手先のごまかしなど一切受け入れてくれそうにないオイロダインKl L439+平面バッフルという類い稀なるスピーカーシステムを使い続ける限り、繊細で残響の長いバロック系の再生において独壇場とも思える程のリアリティーを発揮する光悦スペシャルバージョンカートリッジを否定することは出来ません。


S-201 MC Cartridge Stepup Trans

WE 201 TYPE COREを使用した光悦MCカートリッジ用昇圧トランスで昇圧比は1:15と比較的低めの設定です。入出力端子はWE製を使用し設置用インシューレーターにはAudio Replas GR-SS+RSI-M6を使用しています。WE555Wや594Aスピーカーを使用していた20~40代の頃はWE261Bや208PなどにSPUやTYPE-C、FIRCHILD 225A等を組み合わせてジャズやロックなどを楽しんでいましたが、KLL439スピーカーの導入と共にWE純鉄リングコアを使ったMCトランスを使うようになり、ようやくクラシック音楽が聴けるようになったという気がしました。職業がら比較的多くのMCカートリッジ用昇圧トランスなるものを聴く機会に恵まれましたが、古典的なローコンプライアンス型カートリッジ+パーマロイコア型MC昇圧トランスあたりで情緒的に音楽を鳴らすならそれなりに雰囲気も有りあれやこれやと音の違いを楽しむことも出来るでしょうが、クラシックレコードのオーディオファイル盤あたりを再生して、音の良いコンサートホールの上席にでも身を置いているかのような気分にさせてくれる程のクオリティーを求めるなら、WE系マイクトランスやライントランスなどの代用品や親指の先ほどの小型パーマロイコア型MCトランス程度では役不足感が否めないのではないかと思います。私たちが求めているハイファイ再生のためのMCカートリッジ用ステップアップトランスというアナログレコード再生の根幹を成す昇圧トランスにこれぞというものがほぼ皆無という現状を踏まえれば、可能な限り音質の良いコア(ここでは磁路に切れ目が無く比較的ブロードな磁気特性の純鉄コアを指します)を使い、そのカートリッジのインピーダンスにマッチした昇圧トランスの製作が必要不可欠なのではないかと考えます。


4D22pp Preamplifier

ようやく完成したプリアンプに電源を入れ数枚のレコードを聴いてみたが、もう少し全体のバランスを整えようという気になってあちらこちらのCR定数を変更しながら試聴を重ね概ね納得出来る状態にまでになって来た。10年以上使い続けて来た初代4D22プリアンプからの再構築ということで想定通りにいくかどうかという不安もあったが、まずまずの出来栄えでホッと一息というところだ。今後はエージングによる音の変化に対応するための微調整が必要になって来ることは当然なのだが、ここ数日間のエージングによる音の変化を聴く限り前回のプリアンプを上回るだけの可能性を秘めた新型プリアンプになって来た感が有ります。CRパーツの設置にはアルミナプレート+セラミック端子を使用し、各増幅段へのB電源供給回路(デカップリング回路)は積層セラミック+MALLORY TC電解のハイブリット構成としています。B電源の外部供給用端子にはAMPHENOL+MILLEN製セラミック型、HT電源供給にはWECO製高硬度セラミックターミナルブロック+純チタンネジを使用することで接続部分での音質劣化を極力回避するよう心がけています。ちなみに、本機の組み立てにはほぼ100%純チタンネジ+ナットを使用し伝送速度のアップを、配線材にはWE2Aリッツ線を使用し解像力のアップを図っています。


ここ暫くの間装置の大きな変更箇所も無く安定した状態なのだが、実験という意味も有ってプリアンプのPP間のグリッドリーク抵抗の変更とプリアンプ前段部分のマイクロフォニック対策用ラバーマウント部分にアメリカ製高純度アルミナブロックを挟んみようと思い早速やってみました。大した作業でも無く30分ほどで終わったのだが結果は思いの他ローエンドがグッと伸び高域の分解能がアップし良い感じになってきた。この変化はグリッドリークの変更で一層レンジが広がったところにアルミナブロックによる物理振動の改善が功を奏した結果だろう。しかし、ここまでF特が広がると流石のDG盤もフラット盤や赤ステあたりじゃ高域の頭打ちが早く中低域の抜けの悪さも気になって来る。ところが、音が薄いとか高域がきついなどといわれ少々敬遠され気味の2530~31あたりのブルーラインとなると俄然超高域まで抜け切ってくれストレスなく聴ける。やはり物理振動対策に重点を置いた4D32ppを中心とするハイファイ装置で駆動する平面バッフル型オイロダインKl L439の音はこうでなければ面白くない。


ここ数日間まずまずの音になって来たのではないかという思いも有るが、どこかもう少し改善できるところはないものかとあれこれ考えていた矢先に絶妙なタイミングで高純度アルミナスペーサーが到着した。外観は12mm×11mm DIAのパイプで中心の穴が5mmと部品取り付け用スペーサーに重宝しそうなサイズ感だ。私のプリアンプでは4D22パワー管4本を放熱を兼ねてサブシャーシに取り付け本体シャーシから15mm程浮かして設置しているので、取りあえず既存の真鍮製スペーサーを今回のアルミナスペーサーに交換してみることにした。取付用ネジとナットは以前からチタン製を使用していたのだが今更真鍮製や鉄製に戻す理由も無いので、少し長めの4×30mmの純チタンネジを使って取り付けた。30分ほどで交換作業が済んだので早速試聴してみた。やや大人しくなり過ぎたかな?という感じを受けたが暫く聴いているいるうちに、いやそうではなく弦の響きがより一層分解したために耳触りが良くなったのが大きな要因だろうという気になって来た。高々6個のアルミナスペーサーがここまで分解能をアップしてくれるとは少々驚きだ。


600Ω Type LCR Equalizer(Premium Version)

構想から半年近く経過してやっと完成した2台のMONORAL LCR EQだが、今回はあまり時間もないので1.8H/45mHのインダクターは以前のままで使用することにした。とはいえ元々1.8Hは64A RET PRESS CORE、45mHは25A REP WIRE COREを使用しているので極端に新旧の差が出るとは考えていないが、1930年代のOLD BELDEN MAGNET WIREの威力を知ってしまった以上どこかのタイミングで巻き直しをしなければならないと考えている。最終的に設置したEQ CURVEはRIAA/COLUMBIA(NAB)/AES/FFRR/DIN/CCIRの6種類となり、殆どのMONO/STEREO盤が躊躇なく聴けるようになったことは大変大きな収穫でした。とはいってもハイファイオーディオ装置の構築を生業としている立場としては、レンジの狭いモノ盤あたりを好んで聴く趣味が有るわけでもないという個人的趣向も含めて、デジタル化された記録媒体では決して到達し得ないであろう60年代後半から70年代あたりの超が付くほどのハイファイアナログ録音盤を、如何にコンサートホール並みに再現出来るかを目標に置いていることに変わりはありません。
2025/10/13 スピーカーの項でも少し触れましたが、LCR EQ用WEトロイダルコア(1.8H)をオールド ベルデン マグネットワイヤーで巻き直してみたことで日増しに音が良くなって来ていることを実感できるのは実に嬉しいことだ。やはり巻線のエージングが進んだことによる変化も大きいことは間違いないと思うが、その他には含浸に使用した松脂の固着や配線材2Aリッツ線などのエージング具合なども影響しているはずだ。いずれにしても国産(中華製?)マグネットワイヤーとアメリカ製ヴィンテージワイヤーの音の違いをこれほどまでにまざまざと見せつけられてしまうと、早急に全てのコイルの巻き直しをしなくてはという気になって来る。さて、このような劇的変化をどう捉えるべきか、電気材料の原点でもあるワイヤーが国産品と一昔前のアメリカ製ではどれほどの違いがあるのかを改めて考えてみた。ここ数年の間に製造された再生銅による国産(中華製かも知れない)マグネットワイヤーの分子構造と、7〜80年ほども前に製造されたアメリカ製バージン銅によるマグネットワイヤーの長期保存によるエージング効果が、分子配列に大きな影響を与えていることは間違いのない事実だが、絶縁材料の違いも含めて当時のアメリカの技術力の高さと豊富な資源力を生かした電気材料としての基本ともいえる線材の製造技術が如何に優れたもので有ったかは、ヨーロッパの同時代の線材の粗悪さと比べれば一目瞭然なことは多くのオーディオ&音楽愛好家にも理解して頂けるのではないかと思います。
2025/10/16 先日導入したBELDEN OLD WIREインダクターのエージングも大分進んだようなので、先ずは最近購入したばかりのDECCA盤SXL2195を聴いてみた。録音が古い割には思いの他音が良く演奏もピカイチということも有り、あっという間に最後まで聴いてしまったのだが、この手の録音がここまで上手く鳴ってくれるのはやはりLCR EQのインダクターの巻き直しが効果を上げているとしか考えようがない。確かにルームチューニングも相当な変化をもたらしてくれたことは事実だが、LCR EQの巻線変更の方がウェイトとしては遥かに大きいと感じる。
2025/10/19 今日も改めて色々なレコードを聴いてみたが、ここまで納得感の有る再生音が現実のものとなってしまうと、もはや従来のインダクターでも十分良い音がするなどと自らを納得させようとすることにも相当無理が有ることを実感せざるを得ないのは結構辛いことだ。兎にも角にももう一方の45mH(Wire Core)側の巻き直しも早急にやらなければという焦りさえ感じるほど魅力的な音になって来た。
2025/10/21 このところのDECCA SXLへの傾倒ぶりは我ながら少々困惑気味ではあるのだが、今日もLCR EQのエージング状況を確認するために3枚程DECCA盤を再生してみた。SXL2229 SXL2268 SXL2289 共に比較的録音の古いステレオ初期盤なのだが、DG盤赤ステのようなレンジの狭さや分解能の悪さも感じることなく誇張感のない自然な音で、SXL2000番がここまで上手く鳴ってくれるのを今まで聴いたことが有っただろうかと思わせる程のニュートラルな再生音になって来た感じだ。このような観点からすると、今更ながらDECCA SXLシリーズの録音&プレスの上手さを再認識することが出来たことも今回のLCR EQ用インダクターの巻き直しが大きく影響していることは疑いようのない事実と受け止めざるを得ない結果となった。


600Ω Type Attenuator


PREAMP→LCR EQ→本機というラインナップで従来から使用しているものに少し手を加え、WEインチラックに鉄製ベースを使い高純度アルミナプレート+セラミックターミナルポストにSPRAGUE BLUEJACKET RESISTORを設置していますが、固定抵抗式減衰器という単純な機能であるだけに不確実な要素を極力排除し正攻法での攻略が必要な部分だと感じています。


S-202 Impedance Matching Trans


こちらは600Ω型アッテネーターとパワーアンプの間に接続するマッチングトランスとして製作したものです。私のアンプはプリもパワーも比較的ハイゲインなためトランスのレシオ比をそれほど高く取る必要がないので5倍程の昇圧比(600Ω:15KΩ)で製作しました。このトランスのコアはWE201型インプットや61A/B RETなどを解体したもので、本機はケースによる音の違いを比較する意味も有ってWEトロイダル型トランス用鉄ケースに封入してみました。この201型トランスの最も魅力的なところはF特が広く誇張感のないニュートラルな音楽表現をしてくれるところです。


4D32pp Power Amplifier

本機は6AB7-6AG7-INT(WE201 CORE)-4D32pp-5Kpp:0-8-16Ω/50W Output Trans の3段構成で+B供給用電源には371Bと705Aをパラレル接続にしています。6.3VのヒーターDC点火はLR独立でセレニウム両波整流チョークインプット回路を採用し、平滑用コンデンサー(2,000MF)は積層セラミック型をアルミナボード上に設置しています(詳しくは下段のHT電源の項参照)。このアンプに使用している4D32というパワー管の素晴らしいところは、一般的な認識として「図体の大きな球は大雑把な音がする」という定説をいとも簡単に覆してくれるだけの繊細さと緻密さ、広帯域特性、フラットなエネルギーレスポンスなど、音楽再生に必要な増幅管としての全てを兼ね備えているかのような気にさせてくれるところです。もちろん前段を構成している2本のメタル管も並みの電圧増幅管ではありません。巷でもてはやされているWE系ST型電圧増幅管はどれも内部抵抗が高く付帯音の多い構造で、当店が目指しているハイファイオーディオ再生装置の構築という観点から候補に上がることは有りませんが、3極電圧増幅管の中でも比較的マトモな音のするKEN-RAD 6C5(METAL)や6SN7(GT)などがことごとく寝ぼけて聴こえてしまう程本機に使用しているKEN-RAD6AB7や6AG7は色付けが少なくパワフルでシャープな名刀の切れ味のような音がします。要約すれば星の数ほどある電圧増幅管の中でもKEN-RAD 6AB7-6AG7のラインナップは物理振動が少なく並みの電圧増幅管とは桁違いの広帯域特性と付帯音の少ない強力なドライブ力を兼ね備えた前段増幅回路を構成することが出来るということなのです。因みに、多くの製造メーカーがこぞって製造した6AB7/1853ですが、ブランドによる音の違いがこれほど大きい球も他に無いのではないかと思うほど、KEN-RAD 6AB7とRCA 6AB7では天と地程の違いが有りますのでご購入の際はご注意を。



連休に入り少し時間が取れたところで半年ほど前から計画していたパワーアンプの再構築を始めた。予定ではWEオリジナルラックマウントシャーシに組み上げるつもりでいたのだが、スペース的に少々無理な状況になって来たので、いずれ電源でも組もうと思って保管してあった少々サイズの小さな鉄製シャーシ2台にL/Rを独立した形で製作してみることにした。L/R独立型とはいってもLR共通のデカップリング回路を片方のシャーシに設置したため画像のような外観になってしまった。高品質デカップリング回路の重要性を体感している私としては、同一電源からB電源を供給する真空管式パワーアンプでは各段ごとの厳重なデカップリング回路がいずれ必ず音質的効果を実感することになるとの思いが有り、敢えてスペースファクターの悪い全段チョーク型デカップリング回路を採用した。
翌日朝から音出しを始めたのは良いが、物理振動による影響なのか前機と全く同じ定数というわけにも行かず改めて電圧調整を兼ねて音のバランスを取るための作業が必要になって来た。せっかくだから少々見栄えのしないデカップリングチョークのひとつをシャーシ内に収めることとし、グリッドサープレッサー抵抗や初段管のB電圧供給回路を見直したりした結果少しずつ音も落ち着いてきたようだ。
その後数日間プリアンプの不具合なども有りあちらこちらを調整しながら試聴を繰り返しているが音質的にも大分落ち着いてきた感じで、少しずつではあるがアルミナボードへの部品設置や2Aケーブルでの内部配線等が効果を発揮してきたかなと思わせる音になって来た気がしています。レコードによっては僅かに高域の分解能が気になっていたことも有り、B回路のデカップリングチョークのひとつをWEトロイダルコア製に変更してみたのですが、これって一体どういうこと?というほど一気に全てが解決してしまった感じだ。以前からプリアンプのB回路のデカップリングにもWEトロイダルコアインダクターを使用して来たが、改めてこのWEインダクターと積層セラミックによるデカップリング回路の凄さを実感させられた気がします。


S-201 Type Interstge Trans

私の装置ではプリアンプとパワーアンプの両方にWE201型コアを使用した位相反転トランスを使用しています。どちらもレシオ比は1:1+1で全くゲインのない位相反転だけのためのトランスです。インターステージのように比較的信号の大きい回路でのトランスによる大きなインピーダンス変換は、Hi-Fiアンプの構築という目的を達成しようとする場合周波数特性重視という観点から必ずしも得策ではないと考えます。なお、インターステージトランスの一次側にDCを重畳する回路では、一聴して力強い感じを受けますが音楽鑑賞用のHi-Fiアンプとしては付帯音の多さやレンジの狭さが気になります。そうなると必然的にパラレルフィード回路の採用となりますがこちらはCRの品質が問題になります。WEに夢中になっていた頃はWEピッチペーパーや38抵抗などを使用して一人悦に入っていた時期も有りましたが、あの付帯音の多い分解能の悪さがクラシック音楽のアナログハイファイ再生というセンシティブな目的達成にはそぐわないものだと理解するにはそれなりの時間を要しました。結局のところ良質なインターステージトランスの製作には如何に質の良いコアとマグネットワイヤーを使用してDCアンバランスが少なく位相ずれや挿入損失の少ないトランスに仕上げるかにかかって来ます。もちろん絶縁処理を含めた含浸方法などにも十分に配慮する必要が有ります。


Klangfilm Kl.L439 Speaker System


SP装置の移動から約半年経ってようやく天井の高さが効果を発揮し始めた感がある。ルームチューニングの難しさもさることながらアンプ系の設置方法やMCトランスの配置方法など数多くの難関を乗り越えてやっとここまで来たという感じで、改めてルームチューニングに係る物理振動やオーディオ機器の設置の際のインシュレーター等の導入に無関心ではコンサート会場並みの質感で音楽を再生することなど不可能だということを思い知らされた気がします。ここ数日間何枚かのレコードを繰り返して聴いてみたが少しルームチューニングをやり直してみる必要があると感じていた矢先に近所のNさんが来訪されたので、手助けをしてもらいSP後方壁のチューニング材を少しばかり移動してみた。オイロダインKl L439と平面バッフルというセンシティブなスピーカーシステムのせいも有るだろうが、チューニング材をほんの数センチ上下左右に移動するだけで音のバランスがコロコロ変化する。少し拡散させると全体的に穏やかな傾向になりドライバーの真後ろ付近にチューニング材を取り付けると音楽の集中力が増す。低域から中高域にかけての定在波の除去と拡散にはカーネギーホールにも設置されているというQRD Diffractalで決まりだが、中高域から超高域帯の調整にはAudio Replas製ルームチューニング材の効果的な取付位置を探さなければならない。物理振動対策やアンプ内の回路定数を僅かに変更しただけで、再度チューニング材の設置場所も移動させなければならないほどシビアに反応してくれるのは有難いのだが、ほんの数センチ移動しただけでコロコロ音の出方が変わってしまうので調整には中々困難を極める。いずれにしても、低域から中低域の定在波を拡散により打ち消すことが音作りの根幹であることは間違いのない事実で、次に中高域のエネルギー拡散の分布調整というのがセオリーと思われるが、口で言うほど簡単でもないところが辛いところだ。


2025/10/8 ここ数日間ルームチューニング材の位置変更をやっているのだが一人では中々上手く行かないので、近所のNさんにお手伝い頂いて高所部分のチューニング材を外し上の画像のようにしてみた。大分落ち着いた音になって来たがどうも右側だけが少々強めに拡散しているのが気になり、ドアのガラス部分を覆っていたオーディオリプラスチューニング材を外し近くのホームセンターで硬めの集成材をカットしてもらい取り付けてみた(画像右)。見た目は今一つだが音が良ければ当面これで我慢しよう。そしてその上にすでに廃番になってしまった小さなサイズのオーディオリプラス製チューニング材を取り付けて調整した結果、左右の音のバランスも良くなりL/Rの音量差もほとんど気にならなくなって来た。こうしてみると、ちょっとした一般のリスニングルームにも有りそうなガラス窓が相当悪影響を及ぼしているのではないかということと、ルームチューニング材の過度な設置は「百害あって一利なし」だということを改めて痛感させられた気がします。
2025/10/9 ルームチューニングの傍ら以前から懸案だったLCR EQ 1.8H INDUCTORのBELDEN OLD WIREによる巻き直しを少しづつ進めて来たのだが、ようやく出来上がったので早速本装置のLCR EQユニットに取り付けルームチューニングの再検証も兼ねて何枚かのレコードを聴いてみたが、互いの相乗効果もあってか俄然リアリティーが増し繊細で細やかな再現力が一段と増したような良い感じになって来た。ちなみに、盤によっては高域のピークのようなものを感じることも有ったのだが、LCRの分解能が上がったことにより高域端まで音がこなれたためか、録音の違いによる違和感や左右の音圧差などもほぼ解消されたのではないかと思う。ここまで質感が上がったのはやはりLCR EQインダクターの高品質マグネットワイヤーによるリワインディング化が大きな要因ではないかという確信を得た気がする。


2025/10/18 製作依頼のあったLCR EQアップグレードのためのリングコア解体作業がここ数日間続いていたので、一息つこうということで午後からルームチューニングの続きを始めた。盤によっては僅かに気になることが有る高域の暴れを何とかしようと思い、後方壁3.5m程の高い位置に設置したオーディオリプラス製チューニング材を外す作業を進めていた矢先に、近所のNさんからルームチューニングで悩んでいるとの電話が有り、参考になるかどうかは別にして我が家のルームチューニングの手助けも兼ねて早速来て頂いた。結果としては、左右の高い位置のチューニング材が無いことで劇的に穏やかな音になったのだが、何枚かのレコードを聴いているうちにもう少し実在感が有った方が聴いていて楽しいのではないかということになり、中央の背の高いQRD ディフラクタルの上にオーディオリプラス SFC-HDを一枚載せてみた。ドンピシャリに上手くはまってくれたようで、力感も有りながらオーケストラの繊細で柔らかな響きが何とも言えない魅力的な音になった。いつもながらではあるが、高々SFC-HD 1枚でこれほどまでに再生音が変化してしまうのだから驚くしかない。


Kl.L349 Speaker 2-Way Network


オイロダインを導入するにあたってはネットワークを自分で製作するという前提が有りました。オリジナルネットワークのインピーダンスは12Ωですが、KL406のインピーダンスが7.5ΩでKL302が12Ωということでインピーダンスマッチングを取るためにウーハー側にマッチングトランスを使用して12Ω:7.5Ωとしているが、このオートトランスが音を悪くしている要因にもなっている。それならばということで、KL406を8ΩとみなしKL302の高域減衰用抵抗とボイスコイルインピーダンスを合成抵抗としてー7db減衰時のCとRを算出し単純な6db/oct -3db クロスとした。LにはWE針金コアとWEリングコアから外した黒エナメルワイヤー7本撚りを使用し、CカットにはMultilayer Ceramic Capacitorをシリーズ接続、RにはSprague Bluejacket Wirewound Resistor 10Wをパラレルで使用することにした。入出力端子はWECO製セラミック端子台とアルミナ端子台を使用し配線材にはSPケーブルと同様のWEリッツワイヤーをシルクテープで絶縁しシェラックで含浸したものを使用している。このネットワークの音の良さを実感してしまうと、オリジナルネットワークの回路構成や粗悪なパーツの使用が如何にオイロダインの過小評価に繋がっているひとつの要因となっているかが理解出来ます。


200V Line Isolation Trans & Power Tap

200V⇔100VアイソレーショントランスにはWESTERN INC製(5KVA)とアメリカ製トロイダル型アイソレーショントランス(1.5VA)を使用しています。各アンプのヒーター回路やEMT-930のモーター駆動用にはトロイダルアイソレーショントランスから供給し、その他の高圧整流ユニットへの供給にはWESTERN INC製を使用しています。これ以降の電源タップにはオーディオリプラス SBT-4SZ/HG-MK2SRとSBT-4SZ-MK2SRを使用していますが、このパワータップのOutletは2基ともWattgate 381 RH evoに変更してあります。全ての電源用接続ケーブルにはWE2A LITZ WIREを電流容量に合わせてパラ接続で使用しWattgate 330 RH evoを通して各機器に供給しています。もちろんここでも全ての機器への電源供給ラインにWE KS14169 FUSE BLOCK+WE FAST BLOW INDICATOR FUSEを使用していますが、今のところこのヒューズを超えるような高音質ヒューズを知りません。

先日からこのリッツ線を使ったACケーブルを採用して劇的に音質改善効果を上げているNさん宅に再び伺いEMT930プレーヤーの220Vライン用ACケーブルを交換してみましたが、やはりこの装置でも驚くほどの解像度アップを実感することが確認出来ました。それならばついでにということでプリアンプ用AC100Vラインケーブルも同じリッツ線(5本パラレル1.5m)+Wattgate 330i RH PLUGに交換してみました。こちらは先ほどのプレーヤーケーブル以上の変わりようで唖然としてしまった。驚くことにとても平面バッフル+フルレンジ2発の2 WAYとは思えない程のスケールで音楽が鳴っている。たかがプリアンプの電源ケーブルでそれ程の効果は期待できないであろうという思いの中での試聴実験でしたが、これほど素晴らしい結果になるのならパワーアンプ側も用意して来れば良かった、ということで後日パワーアンプ側も交換することにした。いずれにしてもフルレンジ+平面バッフルがこれほどの緻密さとスケール感を持って鳴ってしまうと、自然で繊細な表現力を必要とするバロック系音楽を上手く鳴らすのが苦手な古典的大型スピーカーの欠点をほぼ解消してしまったのではないかとさえ思えて来た。


WEリッツケーブルによる音質改善が凄まじく効果を発揮してきた感のあるNさん宅に刺激され、我が家の装置でも改善できるところはないものかと2〜3日前から考えていた。そういえば高圧供給ラインだけはショートの危険性が無いようにとリッツ線の上にアメリカ製ガラスチューブを使っていたのだが、上手く絶縁性を確保すればAC100/200Vラインと同じようにシルク二重巻+シェラック含浸程度で問題ないだろうということで、早速プリアンプやパワーアンプへのB電圧供給用接続ケーブルを製作し直してみた。結果はおいおい何じゃこれは?というくらい劇的に柔らかく物静かに音楽が鳴り始めた。しかしながら、ヒーター供給ケーブルやBライン供給ケーブルの変更でここまで質感が変わってしまうと全てのケーブルはこれで良いのではないかとさえ思えて来る。画像1枚目はプリアンプへの高圧B電源とヒーターDC点火電源の入力端子部分で、2枚目はパワーアンプへ供給する高圧整流平滑回路の接続ケーブルをリッツ線化した画像です。ケーブル引き出し部分のストッパーには音質劣化の甚だしい塩化ビニール製からアメリカ製高純度アルミナ製に変更し、差し込み側の4ピンプラグとソケットにも高硬度セラミック製を使用して入出力接続系統での思わぬ音質劣化という事態を回避出来ればと考えている。こうしてみると、音質改善のキーポイントはこれぞと思う材料を導入した際必然的に回路定数や設置方法などを再調整することになりますが、その結果として新たなウィックポイントを見つけ出し再度改善していくというシンプルで地道な作業の繰り返しがステップアップに繋がるということなのではないかと考えます。



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